沖縄の6月は真夏だ。
「暑い、暑い」
首里城を一通り散策して木陰で休んだ。
すると少年に声をかけられた。
「もっと景色のいいところがあるんですよ」
少年は白いワイシャツにグレーのズボンだった。
脇にもう一人同じ格好をした少年と同じ年頃の紺の制服を着た女子生徒もいた。
三人に連れられてしばらく歩くと木が生い茂った小高い丘に着いた。
確かに眺めはいい。涼しい風も吹いている。
眼下に池が見えた。
少年達はいつの間にかいなくなっていた。
「どこへ消えたんだろう?」
私を見つめた少年の顔が思い出された。
「師範学校の生徒さん達だったのかなぁ」
私の想像は尽きない。